大阪唐木指物とは

大阪唐木指物の概要  唐木材の解説  大阪唐木指物の技法

大阪唐木指物の技法


大阪唐木指物の技法の大きな特徴は、釘・ねじ釘・金物は使わないことと、すべての行程を分業では無く、一人で最初から完成まで行うことです。(*注 彫りが入る物では、込み入った彫りを外注する場合があります。)
また板類は、適度な厚みに削り反り・ねじれを止めるのに枠組み(柱・など)をします。
(その際、裏桟なども使用する場合があります)
板は当然伸び縮みしますので枠に溝をつき、そこに板が入り板が動くようにしています。

大阪唐木指物の概要で大まかな説明をしましたが、ここでは少し詳しく作業工程に沿って技法を解説いたします。
作業工程
原木(丸太)買い付け→製材→乾燥→木取り→鉋削り→白書き→ホゾ穴・ホゾ作り→留め作り→小穴つき→曲面加工→彫刻→研磨→組み込まれる部分の着色→組み込まれる部分の拭き漆仕上げ→組み立て→接合部分の加工→仕上げていない部分の仕上げ→完成



原木(丸太)買い付け
この地域で20〜30年前、唐木材を扱う業者さんは9軒ありましたが、今は1軒です。
丸太買いは、良い材に当たれば利益が増え悪い材に当たれば利益が少なく、製材しないと分からないところがあります。

製材
製材所も今ではほとんど無くなりました。
唐木材は、堅木なので専門の慣れたところでないと挽けません。
丸太1本1本吟味し、芯割れも注意しながらロスのないように製材していきます。

乾燥
工房室内で桟積みし、5〜6年自然乾燥させます。
露天乾燥は、日焼けや雨垂れの跡が残る場合があるのと、土や砂などが木の目には入り刃こぼれを起こす場合があるので行っていません。 詳しくは、浅井唐木の乾燥材について

木取り
十分に乾燥した材を板・柱・框などの大まかな寸法に切っていきます。
木工機械がないときは、手鋸でしたが、今は丸鋸機で行います。 刃物は、堅木用の鋸刃を使っています。

鉋削り
粗方切った材を鉋で正確な厚みに削ります。
これも昔は手鉋、今は手押し鉋機・自動鉋機です。(プレナー機とも言います。詳しくは、プレナーについて
材が硬いので刃物の切れ止むのが早いです。
機械でできない細かなところや後で出てきます曲面加工・接合部分の加工は、色々な角度の手鉋を使います。
最終立鉋を使います。(刃が90°)
木の硬さに寄って鉋の刃の角度が変わります。
柔らかい桐材で立鉋を使うと木肌がボロボロになり、桐材を削る鉋を唐木材に使うと削れません。
無理にするとすぐに刃が欠けます。 木の硬さに寄って刃の角度と刃の研ぎ角度が変わってきます。

白書き
ホゾ・ホゾ穴・留めなどの基準となる白書きの線引きと罫引き(罫線)を正確に刃物で行います。

ホゾ穴・ホゾ作り
角ノミ機でホゾ穴を掘り、丸鋸機でホゾを作ります。
機械でできないところは手鋸を使用します。

留め作り
胴附き手鋸を留型を当て伐り鋸の当たらないところをノミで取っていきます。
留めところを白書きの線に合わせて正確に留型を使って突きノミで留突きます。
突きノミは、特に刃を良く研がないと突くことができません。留の種類:三方留・剣留など

小穴つき
丸鋸機で板材を柱や框にはめ込む溝を作ることを小穴つきと言います。

曲面加工
ルーター・手鉋を使って柱や框を丸め、曲(クセという部分)の木工ヤスリで加工します。

彫刻
白書および罫引線に合わせて型紙をうつしを行い墨絵に沿って彫刻刃で切り込みノミで彫り下げたあと
ハビキではびきます。

研磨
鉋削りの仕上がり程度にも寄りますが、ペーパーの番数100〜150→240→400→600→800〜1000→1500と磨き上げていきます。
木製品の内、堅木は水を使って磨きができます。
800〜1000と1500は、耐水のペーパーです。
800〜1000は、水で濡らしながら磨きます。 800〜1500は水を使わず空磨きします。
どのような木も水がついた状態で乾きますと白っぽくなります。
800〜1500は、その曇りを取るのと磨き残しを確認しながら磨き艶を出していきます。
昔は、木賊・椋の葉を使っていましたが今はペーパーの方が綺麗に磨きあがります。

組み込まれる部分の着色
この部分と次の漆仕上げは、従来からほとんどしてこなかったところです。
すべて組上げてから着色・仕上げをしていました。
そうすると板が動いた場合、溝に入っている際の漆の溜まったところが汚く見えます。
手間は掛かりますが、この方法が良いと思います。
同じ材でも色の違いがあるので、色を均一にそろえるために着色します。
色がそろっていれば着色はしません。
着色剤は、蘇芳(すおう:染料となる植物)・オハグロ(お歯黒:江戸時代歯を黒く染めていたのと同じ物)。
色かすを取り除くのに切藁(ウズクリとも言います。シュロのクキに生えている毛を束ねたもの)で磨きます。

組み込まれる部分の拭き漆仕上げ
生漆を使って拭き漆をするのですが、かなり重要な部分で難しいです。
拭き漆仕上げの良し悪しで製品の価値も変わってきます。
ここも昔とは違った仕方をしています。 詳しくは、浅井唐木の拭き漆についてをご覧ください。

組み立て
仕上がっている部分に注意しながら組み上げていきます。
接着剤は、膠・木工用ボンド・エポキシ系接着剤
膠は、使い勝手が悪いのと接着力に難点、特にショックに弱いので今は使っておりません。
木工用ボンドは、柔軟性があるのですが水に溶けるので接着後、水磨きをしないところに使用します。
エポキシ系接着剤は、作業性良く,水にも強く接着力も抜群すが、
組む時に仕上がっているところへついてしまうと大変です。
また接着力が強いので、いったん組み上げて糊が乾くと分解できないです。
用途に合わせて、2つを使い分けています。

接合部分の加工
接合部分を刃物で削り、研磨していきます。

仕上げていない部分の仕上げ
組み込まれる部分の仕上げたところ以外すべて着色→拭き漆仕上げをしていきます。

完成

*技術は、進歩していき道具に機械も混ざり昔より精度の良い物ができあがっています。
しかし、伝統技法は受け継いできており、これからを益々鍛錬し、より良い物、また時代に合った物を作りあげていきたいと思っております。